野島那津子さんがイギリス社会学会で発表

ダウンロード9月10日~12日に、アストン大学(イギリスのバーミンガム市)において、第46回イギリス社会学会医療社会学部会年次大会(The BSA Medical Sociology Group Annual Conference 2014)が開催されました。イギリス社会学会医療社会学部会年次大会では、医療、病い、健康に関するあらゆるトピックの研究報告が行われます。

9月12日(金)に、その大会の「Experiences of Health and Illness(健康と病いの経験)」というセッションで、大阪大学大学院人間科学研究科博士後期課程の野島那津子さんが、「Paradox of Diagnosis: The Positive Effects and the Limits of Diagnosis in ME/CFS and FM Patients(診断のパラドックス―筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群および線維筋痛症患者における診断の肯定的な効果と限界)」というタイトルで発表されました。ME/CFS患者8名、FM患者9名にインタビュー調査を行い、当事者における確定診断の効果と限界を指摘しました。

インタビュー調査の結果、ME/CFSおよびFMとの診断は、主に、(1)自責の念からの解放、(2)患いの正統化、(3)具体的な情報へのアクセスという3つの肯定的な効果を患者にもたらしていることがわかりました。しかし他方で、(1)治療上の変化がない、(2)深刻な病気とみなされない、(3)診断が病気でないことの証明になってしまっている、という3つの限界に患者は直面していました。

診断に至るまでが困難なME/CFSおよびFM患者にとって、確定診断は非常に重要な出来事ではありますが、疾患の地位が医学/医療的にも社会的にも必ずしも十分に確立しているとは言えない現状において、ME/CFSおよびFMとの診断は、患者が「病気なのに病気ではない」というパラドキシカル(逆説的)な状況に陥る契機になっているとも言えます。今後は、ME/CFSおよびFMの診断がなぜこのようなパラドキシカルな状況を引き起こすのか、病名や社会的認知の問題も含め、その要因を多面的に探っていく必要があると考えられます。

当日のパワーポイントは、こちらからご覧いただけます。

広告