「すべての人の社会」413号に記事掲載

img046篠原 三恵子
JD(NPO法人日本障害者協議会)の機関誌「すべての人の社会」413号の、連載「私の考える『他の者との平等』」欄の4回目に、「『制度の谷間』に置かれた難治性疾患患者も社 会参加できる社会に」と題する記事を掲載して頂きました。認定されてない難病の当事者として、障害者権利条約で繰り返し述べられている「他の者との平等」ついて執筆するよう依頼されました。

今年5月に難病法が成立しましたが、ME/CFS患者の状況が変わるわけではありません。難病法では医療費助成の対象疾患に、希少性と客観的な診断基準の確立を、また、障害者総合支援法の福祉サービスの対象疾患には、客観的な診断基準を求めていますが、ME/CFSはその要件を満たさないからです。対象疾患を病名で区切っている限りは、医療費助成の対象にも福祉の対象にもならない「制度の谷間」は、いつになってもなくなりません。

障害者に慢性疾患に伴う機能障害が含まれるようになったのは、2011年8月に障害者基本法が改正されてからです。その後まとめられた骨格提言では、病名に関わらず支援を必要としているすべての障害者を漏れなく支援の対象にするように提言しました。

日本では慢性疲労症候群と呼ばれているこの病気は、ヨーロッパ・カナダ・オーストラリアでは、筋痛性脳脊髄炎と呼ばれており、世界保健機関の国際疾病分類において、神経系疾患と分類されています。「筋痛性脳脊髄炎(ME)」という病名は1956年の医学誌「ランセット」に提案されたもので、「慢性疲労症候群(CFS)」は、1988年になって患者の反対を押し切って国際会議で提案されたものです。

国際ME/CFS学会は、患者の約25%は重症患者であると発表していますが、障害者手帳を取得できる患者は極めて稀で、社会参加どころか、命を維持していくことさえできないほど重症化しても、必要な介護を受けられない方、必要な車椅子を支給されないために、月に一回の通院で体力を使い果たす方や、それすらできない方もいます。特別支援教育で訪問教育を受けることができずに、義務教育すら保障されなかった小児患者もいます。その他、患者達には医療を受ける権利、選挙権を行使する権利、働く権利等、他の人と平等に社会参加する権利が保障されていません。

慢性疾患によって生活のしづらさがある人も、他の者と平等に社会参加する権利が保障されるよう、生活上の困難さの有無を基準とし、病名に関わらず必要な合理的配慮が提供されるべきです。障害者権利条約や障害者基本法、障害者差別解消法では、難病や慢性疾患は障害の範囲に含まれており、「制度の谷間」を生じさせないよう規定されているのですから、患者数が多いとか、診断基準が確立されていないという患者の努力ではどうにもならない理由で、尊厳を持って生きる権利が保障されないことがあってはなりません。

難治性疾患を抱えていても、ニーズに応じた合理的配慮を受けつつ、「他の人と平等」に希望を持って生きていけるよう、今後も社会の成熟を促していかなければなりません。「制度の谷間」に置かれた患者も社会参加できる社会になるよう、これからもその声を届け続けていきたいと思います。

記事を当会のHPに掲載する許可をいただき、JDに感謝しております。

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