東大医科研附属病院での三羽先生の講演会

DSCF025312月6日に東京大学医科学研究所附属病院において、医療関係者・研究者を対象とした三羽邦久先生の特別企画講演会を開催致しましたが、同じホールでは1年前にも、「アイ・リメンバー・ミー」のキム監督をお招きして上映会を開催させて頂きました。当日は20名以上の医療関係者、10名近い患者や家族、10名近い支援者や一般の方にお越しいただきました。まず副院長先生から、去年の上映会で病気に対する認識が改善し、原因がわからず稀少疾患であるような病気は、研究所の附属病院として今後の研究や臨床の対象にしていかなければならないという思いがあって、この企画の後援をお引き受けしたとご挨拶いただきました。

主催者の挨拶の中で、11月の東大でのシンポジウムの際にアメリカの専門医の方が、この病気の発症には遺伝的な要素も関与していること、75%~85%の症例はウイルス性疾患あるいはインフルエンザに似た疾患を罹患後に突然発症していること、回復される方は5%くらいであること、心肺運動負荷試験により患者の低エネルギー、スタミナ減少、労作後の疲労感/体調不良などが理解できること、適度な運動後に感覚、アドレナリン、免疫などに関わる遺伝子のメッセンジャーRNAが増加するが、健常者には認められないこと、うつ病がこの病気の原因ではないことなどをお話しくださったことをご紹介しました。また、私が発症時に一番初めに感じた症状は頭の中に濃い霧がかかったようになったことであり、その後一気に様々な症状が襲ってきて全身の筋肉が痛んだが、骨髄の中(骨髄液)が一番痛みが強かったことを紹介し、筋痛性脳脊髄炎という病名が私にはぴったりくるとお話し致しました。

DSCF0272三羽邦久先生は、2010年より富山県でミワ内科クリニックを開業され、院長をされていますが、1985年から2年間は米国シンシナティ大学に留学、1999年には京都大学で循環病態学の講師をされていたこともおありです。13ヶ国の26人の医師や研究者により、去年の10月に新しい「筋痛性脳脊髄炎(ME)のための国際的合意に基づく診断基準」が、今年の10月には「MEの国際的合意に基づく医師のための手引き」が発表されましたが、三羽先生はその中の唯一の日本人の著者です。

講演会は、「循環器調節異常と慢性疲労症候群/筋痛性脳脊髄炎」と題して行われました。MEにおける小心(臓)症候群(スモールハート)や起立不耐床について、慢性疲労症候群の原因として筋痛性脳脊髄炎に伴う中枢神経系の異常が提唱されて、新しいMEの診断基準が公表されたこと、筋痛性脳脊髄炎という病名はパーフェクトではないかもしれないが、現段階では最も妥当な病名であると考えること、CFSの診断基準では、6か月以上経過しないと診断できない、軽症例が多数含まれ、精神疾患例が紛れ込みやすい、病因に全く踏み込んでいないという問題点があること、「MEの国際的合意に基づく医師のための手引き」のゴールは、MEの理解を促進し、国際的に臨床診断と治療を普及させることであること、MEの厳密な診断基準を満たさないのは軽症患者であると考えられ、軽症患者はMEの軽症型なのか、MEと切り離した全く別の病態なのかはわからず、今後の研究に委ねられること、かなりの研究者が、MEは中枢神経系の機能異常や調節障害が中心であると認めていることなどをお話いただきました。DSCF0260

講演後には活発な質疑応答が行われ、「似たような症状を呈する人の中にはウイルスが原因の人もいるしそれ以外の人も混じっているであろう。それを切り分けていくと、重症化する患者の原因を突き止めらるのではないか。一つの原因ではなく、多因子がオーバーラップすることによって、最終的に疾患が形成されるのではないか」、「患者をグループ分けしていくことが必要であろう。多くの研究者に色々な切り口から研究してもらうことが大切」、「均質的な患者を集めて研究しなければ成果は得られない。確かに診断基準を満たす重症患者を集めてまずは研究すべき」、「最先端の遺伝子の研究をしているこのような病院でMEの研究をしてほしい。少数の重症患者から同意を得て、臨床試験的にゲノムの研究などを行えば、原因がわからなくとも治療に結びつくのではないか。重症患者に効けば、その治療法は軽症患者にも効くことは間違いないので、重症の患者を切り分けて、最先端の研究をしている先生方に、重症のケースを研究してほしい」などの意見が出されました。最後に、最先端の研究をしている病院で、この病気の研究と診療していただけることを切に願っていると、患者会からの希望をお伝え致しました。

当日の三羽先生の講演のパワーポイントはこちらこらご覧になれます。

広告