感動をよんだ東京保険医協会 拝殿清名会長のメッセージ

1月29日、「慢性疲労症候群(CFS)をともに考える、映画と交流のつどい」を後援して下さった、東京保険医協会、拝殿清名会長のご挨拶を紹介します。

2011年 1月29日      東京保険医協会会長 拝殿 清名

本日、「慢性疲労症候群(CFS)をともに考える会」の主催で、ドキュメンタリー映画「アイ・リメンバー・ミー」の上映と交流の集いを催されましたことは、非常に意義深いことであり敬意を表します。

私ども東京保険医協会は都内の健康保険を取り扱う医師5200人を擁する団体ですが、会を代表してごあいさつ申し上げます。
これから上映される映画の中でも触れられると思いますが、慢性疲労症候群について、研究が進んだイギリスでは2001年に保健省が、全ての医師がCFSを深刻な病気と見なして治療するように指導しています。またアメリカでは2006年に、疾病予防管理センターが研究者や医師達の研究結果を報告し、慢性疲労症候群は精神的疾患ではなく、深刻な器質的な疾患であるとし、それ以降は認知キャンペーンの推進や、研究を支援しています。

さらにアメリカでは慢性疲労症候群研究責任者の医師が、「慢性疲労症候群患者の機能障害は、多発性硬化症、エイズ、末期の腎不全、慢性閉塞性肺疾患などと同程度なほど深刻です」と発言し、多くの患者は寝たきりで、回復はまれで、病歴20年以上という患者も多いという現状の把握が進んでいます。また、慢性疲労症候群の発症原因としてウイルス感染の可能性が高まっています。

ところが研究が進んだ欧米とは異なり、日本では1991年に設置された、旧厚生省の慢性疲労症候群の研究班が1996年まではありましたが、その後廃止され、疲労の研究班のほんの一部でしか慢性疲労症候群が研究されなくなりました。その後、厚生労働省エイズ・結核感染症課で行われていた慢性疲労に関する研究班も2000年で終了しました。当初CFSの病因として心配されたレトロウィルスなどの感染症がほぼ否定されたとして研究をやめてしまったのです。欧米では、引き続きウィルスの研究が盛んに行われていたのですから、日本の研究の方向性が正しかったのかどうか懸念されます。

先日、篠原三恵子代表とお会いした際にも、慢性疲労症候群について日本ではまだ病気とすら認められていないとお聞きしました。我が国においては「慢性疲労が悪化すると慢性疲労症候群になる、四割程度の人が元の生活水準にまで回復する」と考えられており、重症な患者が多いのに深刻な病気ではないと誤った情報が流されています。残念ながら医師の中にも誤った情報が流れています。

原因や治療法が解明されていない難病に対して、医師の診断は非常に慎重になり、慢性疲労症候群の患者の診断書が交付されず身体障害者手帳を取得が困難な状況です。手帳が取得できなければ、どんなに生活上の障害があっても、公的なサービスや支援は受けられません。慢性疲労症候群の患者さんたちが満足な医療が受けられない、生活が苦しいなど多くの困難を抱えていることは医師としても非常に心苦しく、行政ばかりでなく責任の一端は医師にもあることをひしひしと感じております。

そうした状況の中で「慢性疲労症候群をともに考える会」は、昨年12月に厚生労働副大臣と面談して現状の改善を訴え、篠原代表の地元東久留米市議会から「慢性疲労症候群対策の改善を訴える国会や政府への意見書を出させるなどすばらしい活動をされています。

微力ではありますが、今後、私ども東京保険医協会といたしましても、昨年11月に「慢性疲労症候群をともに考える会」の皆様と懇談をして現状をお伺いしたところですが、引き続き慢性疲労症候群についての医学情報を収集しつつ、東京歯科保険医協会とも連携をして医科・歯科両協会の会員に、今まで日本で言われていた「慢性疲労」と真の「慢性疲労症候群」とは異なるものだということを周知させたいと思います。さらに、日本での慢性疲労症候群の研究を再開させることや、医系議員などの人脈を通して国会、学会等へ働きかけ、真の慢性疲労症候群を認知させるなど、貴会に必要に応じて協力していくことを表明し、あいさつといたします。

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