16.9.1「みんなのねがい」の「当事者連載」③

img117篠原 三恵子
全国障害者問題研究所発行「みんなのねがい」10月号の「当事者連載」というコーナーに、「かけがいのない命」と題して記事を掲載して頂きました。4回の連載の予定で、今回は3回目です。

原稿を書いている7月26日に相模原市の障害者施設において、19人の尊い命が奪われました。容疑者は「障害者は生きていても仕方がない」と語ったそうです。事件の報道に接して、私は発症当時の心の葛藤を思い出しました。急激に発症し、具合が悪くてほぼ一日中ベッドから起き上がることもできず、体調の良い日に這うようにして車で買い物に行き、食事は冷凍食品ですませ、最低限の家事を何とかこなせるだけであったころ、役に立たないのに生きていては、社会にとって迷惑ではないかという疑問が浮かびました。自分なりの答えを出すのには長い時間かかりました。

2011年8月に障害者基本法が改正され、これでME/CFS患者も救済されると大きな期待を抱いたのですが、2014年の難病法成立後も、ME/CFSは医療費助成の対象疾患からも、障害者総合支援法の対象からも外れており、社会保障を受けられません。「障害者権利条約は、障害者を優遇したり、障害者に新しい権利を付与するものではなく、憲法や人権条約で保障されている権利を、障害者にも同じように保障するためのもの」であり、日本も2014年に批准したのですが、「他の人と平等」に社会参加する権利がME/CFS患者に保障されていません

厚労省の2014年度の実態調査によって、約3割のME/CFS患者が寝たきりに近いという深刻な実態が明らかになりました。福祉サービスを受けることができるME/CFS患者はごく稀であるため、社会参加どころか、命を維持していくことさえできないほど重症化しても、必要な介護を受けられない方、必要な車椅子を支給されないために、月一回の通院で体力を使い果たす方や、それすらできない方もいます。不登校と思われ、特別支援教育で訪問教育を受けることができずに、義務教育すら保障されなかった小児患者もいます。

患者会では、「2005年から栄養摂取は点滴のみ、感覚過敏が進行しアイマスクや耳栓を常に装着し、10年以上前から全く家から出られない」「具合が悪くて横になっていると家族から罵倒されるため家を出ざるを得ず、何度も死のうと思った」「月に十数万円払って家政婦さんを頼んでいた」「経管栄養になっても精神科医に行くように言われた」「介護を受けられなければ生活できないため、親が死んだ時が自分も死ぬ時かなと思う」「行政に相談しても、ME/CFS患者が使える制度は皆無なので、家族の自助努力で生活して下さいとの一点張り」等の声が寄せられています。

私は10年以上前から寝たきりに近い生活ですが、重度訪問介護を一日8~10時間受け、充実した毎日を送っています。どんなに病状の重い患者さんでも、「生きたい」という強い意志を必ず感じます。かけがえのない一人ひとりの命が何よりも大切にされる日が来ることを願っています。